(Report) Vol.24 主導権をもって子どもを導く(子どもと心が通じ合うコミュニケーション②)

2017年5月28日、「主導権をもって子どもを導く」というテーマにて、Yukako Kwaguchiさんによる子育て講座を開催しました。総勢23名の参加となりました。

☑️いつから、躾をしたら良いのかわからず悩んでいる 

☑️叱らないと、子どもになめられると思っている 

☑️どんどん子どもの言う事を聞くと、止められなくなる 

☑️やりたい事をやめさせる、線引きが分からない 

☑️「まだわからないから・・・」と、やって良い事としてはいけない事を伝えるのを諦めている 

☑️お母さんが許していない事を、お父さんが許してしまい、困っている こんな悩みをもつお母さん・お父さんが集まりました。 

講師をしてくれたのは、0-6歳子ども教育のプロフェッショナルである川口由佳子さん。 

今回も、熱の入った講義に沢山の発見と気づきのある講義となりました。 

私たち大人は、社会のルールの中で生活をしています。 子どもにもそのルールを教えていく必要がありますが、 いつから、どんな風に伝えていけばいいか、悩んでいる方も多いと思います。 今回の講座では、 ◎どうすれば子どもを叱らずに、スムーズに導くコミュニケーションがとれるのか? ◎親が主導権をもって子どもにやりたいことを『決めてもらう』方法 ◎父親と母親の役割分担の仕方 について学ぶことができました。 由佳子さんの伝えてくれたことは参考になるものばかりですので、以下シェアしたいと思います。 

---------------- 

◆リーダー?マネージャー?親のスタイルで子が変わる

 ---------------- 

一つ質問をさせてください。 あなたは「リーダー型」と「マネージャー型」どちらのタイプの母親・父親でしょうか? 「リーダー型の親」とは、目標を示し、やり方は子どもに任せる。 「マネージャー型の親」とは、目標達成のために、具体的な方法まで管理しコントロールする。 そんなイメージです。 由佳子さんは、子育てを仕事にたとえました。 上司が目標達成に向けてのアクションをとろうとしているのに、メールの一言一句まで細かく指摘されたら? 部下は「自分でやってよ」と、やる気をなくしませんか? 子どもも同じです。枠の中で任せてみる。案外とできるものです。 

---------------- 

◆境界線を作り、枠の中では自由に決めてもらう

 ---------------- 

では、どんな枠の中で自由にやってもらうのか? それが、親が決める各家庭のルール(境界線)です。 子どもにやり方を決めてもらうために「ここまではやっていい」という境界線を決めてみてください。 その境界線を越えた時点で自由にやるのはおしまいです。 

例えば、我が家の食事中のルールは、

 ・食べ物で遊ばないこと 

・座って食べること 

・食事中はおもちゃで遊ばないこと 

・「いただきます・ごちそうさま」の挨拶をすること です。 

これ以外は気にせず、「楽しく食べること」にフォーカスします。 

・座って食べるならどこに座ってもOK(大人の椅子でも、床でも、おもちゃの椅子でも) 

・何をつかって食べてもOK(手でも、大人のスプーンでも) 

・出したものから何を食べる、食べないは子どもが決める というようにしています。 

我が家では2歳の息子に求めることは「食事を全て完食すること」ではありません。 食べたいものを食べたい分だけ食べればOK。 (身体が求めているものを、子どもは本質的にわかっていると信じています) 「一生懸命栄養バランスを考えてつくったのに・・・」という気持ちや、 世間一般でいわれているから、なんとなく「残さず食べなさい」と言っていませんか? でも子どもがお腹いっぱいかどうかなんて、親にわかる訳がありません。 特に食事は「子どもが親を試している場面」だそう。 「イヤといったら、親はどんな反応をする?」と子どもは試している。だから感情移入してはいけないそうです。 

---------------- 

◆境界線作りで大切なことは「自分の気持ち」 

---------------- 

その境界線を引く時もポイントがあります。 それは世間一般のルールや周りからどう思われるかという体裁や比較は一旦捨てて、 「子どもをどう導き、サポートしていきたいか」 に向き合うことが大切と話してくれました。 究極「自分がどうしたいのか」だと思います。 子どもが守ってくれなくて困っている家庭のルール、どんな家庭でもひとつはあるのではないかと思います。 ではどうしてそのルールが必要だと思いますか? なぜそのルールが重要ですか? もしかしたら、周りとの比較で、境界線を作ってしまっているかもしれません。 「子どもの成長を、どうやってサポートしていきたいか?」胸に手を当てて聞いてみてください。 その答えが、境界線を引く時の大きなポイントとなります。 

---------------- 

◆境界線を越えた時、親は子どもに試されている 

---------------- 

そして、境界線を越えたらどうするのか? 食事の例でいくと、由佳子さんは子どもがどれだけ泣いても食事を全て片つけると言います。 ついつい「もったいないから」「栄養をとって欲しいから」と、子どもを追いかけて、遊びながらアーンと食べさせていませんか? それがOKという家庭はよいと思いますが、 してほしくないと思っているとしたら、それはいますぐやめるべきです。 

---------------- 

◆我が家では、境界線作りで、遊び食べがなくなりました!! 

---------------- 

我が家でも実践してみました。 うちのルールは「食事で2回遊んだら、食事を片付ける」というもの。 食べ物で遊ぶ1回目、「食べ物では遊ばないよ。次に遊ぶようならご飯片付けるね」と伝える(怒り口調ではなく、でも真剣に毅然と) そして2回目、「さっき約束した通り、ご飯片付けるね」 息子「ご飯もっとたべたかった〜〜〜〜〜!」と、大泣きです。 「ご飯食べたいよね、でもおしまいだから次のご飯にしようね!」 これを3回の食事でくりかえして学習した息子は、ご飯で遊ぶことはピタッとなくなりました。 まずは、境界線を決める。 そして境界線を越えたらどうするかを、決める。 そしてそれを徹底する。 自分の息子を見ていて、これほど一貫性が大切なことだと驚きました。 ---------------- 

◆ルールを守れなかった時は、叱らずに毅然と伝え、代替案を提案する

 ---------------- 

子どもには物事を察知する能力(第六感)があると言います。 子どもが境界線を越え親がストップをした時、我が子の泣く様子に動揺したりあたふたしないでください。 それにつけこみコントロールしようとしてきます。 だからこそ、伝える時はストレートな言葉で、毅然とした態度で、低い声で笑わずに伝えます。 例えば、お友達を叩きそうになったら 「たたかない」 (手をさっと持ってやる前に止める) そして、代わりにできることを伝える。 「叩いていいのはどこだっけ♪?」 「一緒にこのクッション、パンチする♪?」 (楽しそうに!) 「なんでそんなことしたの?!」と、怒る必要はありません。 どういう時にそれをする傾向があるかわかっているなら、それが起こりそうなタイミングを必ず見ておいて、サッと止めてください。 繰り返すうちに、理解してくれるようになります。 子どもがもっとも聞く耳をもってくれるのは「叱らずに導く」という方法です。 一人の人間として対等に接します。 ・威圧的ではなく、毅然とした態度で伝える。 ・子どもに自分の感情を伝える(主語は私)〜してくれて嬉しい、〜してくれて助かる ・子どもに聞く(どうしてだと思う?どうしたら出来た?そして答えてくれたら、お願いね!と伝える) ・期待をしすぎないできなくても、やろうとした気持ちを認める とても根気が要る作業です。 

---------------- 

◆やってはいけないことをあえてやる時は子どもからのSOS! 

---------------- 

実は子どもは、やっていいこと、いけないことを教えて欲しいと思っています。 4歳を過ぎれば、やってはいけないことがわかっています。 でもわかっていて、なぜそれをやるのか? それは、親に対しての止めて!というSOSです。 上司がなんでもかんでも「どう思う?」と言ったら部下は「わからないよ!!」となってしまうように、子どもは導かれるのを待っています。 (細かい指示ではなく、目標を示して欲しい) 

---------------- 

◆親がリーダー型となると、子どもは自主的にルールを守り始める 

---------------- 

親がマネージャーではなく、「リーダー」となり、 子ども自身が境界線の中で実行するといいことがあります。 それは、自分が決めたことは自分で守ろうとするということ。 自分で選択することで、守る傾向があります。 でも約束を守れないこともあります。 そんな時は、出来なかった事を責めるのではなく、 「どうしたら約束を守れたと思う?」と聞いてみてください。 例えば、いつもご飯を食べきれないとします。 そしたら自分の食べる分だけよそってみるというのも1つです。 それでも食べきれないようだったら、 「どうしたら食べれたかな?」 「もう少し少なくよそってみる?」 と、提案できるかもしれません。 

---------------- 

◆境界線は変化していい 

---------------- 

境界線は変わるもの。 試しながら境界線をかえたり、成長段階に合わせて変化するのはいいと思います。 その根っこに「子どもをどうやって導き成長をサポートしたいか」の軸がぶれなければ、問題ありません。 他人からの目ではなく、世間の常識ではなく、親の気持ちを確認することが一番大切だということを、覚えていて欲しいと思います。 

---------------- 

◆家の中の2人のリーダー、父母のすり合わせが不可欠! 

---------------- 

子どもを導く上で大切なのはリーダーの一貫性。 複数のリーダーが違うことをいっていたら迷う部下のように、父と母の一貫性はとても大切です。 例えば、お母さんが子どもに指摘をした時。 母「食べる時は、座って食べなさい」 子「えーん!(父のもとへかけよる)」 父「お母さん怖いね〜!!よしよし」 こんな場面、ありますか? 極端ですが、お母さんとお父さんが違う事を言ったら子どもは優しく甘い方に逃げます。 

母「食べる時は、座って食べなさい」 

子「えーん!(父のもとへかけよる)」 

父「悲しかったね。でもお父さんお母さんの言うことわかるなぁ、お母さん椅子から落ちたら大変だと思ったから⚪︎⚪︎ちゃんに座ってって言ったんだと思うよ、座って食べてみようか」 

お母さんが厳しい役割をするなら、お父さんは優しくする役割でも良いと思います。 

でも違うことを言っていては子どもはルールを理解することはできません。 その境界線については夫婦で話し合いが必要で、一貫性が必要です。 子どもにルールを伝えるには、根気がいりますし、 夫婦で別々のことを言っていては、子どもが理解するのに時間がかかります。 私は実は、「遊び食べをしたら食事を片付ける」という境界線を実行したのが、日本の実家に帰国した時でした。 やってみて感じたのは祖父母の理解があって、実行できたこと。 周りと境界線を共有して協力してもらわないとできないことでした。 これをやっている時に、周りが「そんなことしたらかわいそうだ」「食べさせてあげたら?」といったら台無しです。 事前に話し合い、見守ってくれて、息子のフォローをする。 夫婦、家族の協力なくしてはできません。 

子育ては答えのない壮大なプロジェクトです。 子育てに対する自分・パートナーの考えを確認し、家の中の2人のリーダーが方針を合わせることが大切です。 

今回は、前回の由佳子さんの講義を踏まえ夫婦で参加することに大きな価値があることがわかり「旦那さん連れてきてください!」と伝えたのですが、お父さんが5名も参加してくれました。 夫婦で一緒に足並みを揃えるキッカケに、由佳子さんの講義は、本当に役立つ時間だと感じます。 

今回の講義では、由佳子さんの用意している「質問」に従って、自分たちにとって最適な解決策を考えたり、ご自分の子育て感の根っことの考えを引き出していく時間もありました。 思ってもみなかったような未来が見れたご夫婦もいたようです。 講義中1時間ほどして、子どもたちが飽きてきた頃、由佳子さんが歌う事で、一瞬にして由佳子さんに子どもたちが惹きつけられ、静かになった時間もありました。 

親子が、お互いに気持ち良い状態で、毎日を送るために「心が通じ合うコミュニケーション」が取る工夫をすれば、すべて解決の方向に向かうことがよくわかりました。 由佳子さん素晴らしいお話をありがとうございます。 ご参加いただいた皆様、たくさんのシェアがあったからこそ、学びや気づきがたくさんありました。 皆さんのお陰で素晴らしい時間となりました。 ありがとうございました。 

Writer: Naoko Yasuda