2017年7月11日の講義は「出産を人任せにしない 産む前の身体作りと産んだ後のケア」について。
今回講師をしてくれた、Miki Noriyukiさんによるお話は
「いつかは子どもが欲しい」女性全てに聞いてほしい
女性の理想のライフスタイルの基盤となるお話でした。
一般的に「いま妊娠しているから、〜は食べない」など、 妊娠が発覚してから、妊婦として食事や生活習慣に気を使う女性が多い印象があります。
しかし「いつかは子供が欲しい」と考える女性ならば、 本来は、排卵から次の生理が来るまでは、自分は妊娠していてもおかしくない状態。 なので女性は誰でも、毎月自分は「妊娠1ヶ月目の妊婦だ」と考えて生活を送ってほしい、というお話にハッとさせられました。 (妊娠の週数も、前回の生理日からカウントしますよね)
妊婦に推奨されている食事や生活リズムは、 実は「全ての女性がやったほうがいい要素」ばかりなのです。 そして妊娠してから急に生活習慣をガラっと変えることは容易ではありません。 妊娠前から「いつ妊娠してもいいような生活を送る」ことが大切なのだな、と再確認しました。
また、私たちの卵子は、私たちのお母さんがお腹の中の赤ちゃんだった時に作られていました。 もしあなたのお子さんが女の子ならば、孫の卵子をすでに娘さんにプレゼントしています。 (なんだかすごく不思議で、壮大な気持ちになります・・・)
食は3代まで、とよく言いますが、そう言われるのも納得です。
「私の卵子は私のおばあちゃんが食べたもので出来ている」と考えると、きっと今よりも添加物や農薬の少ないものを食べていたと思います。
いまの私たちの生活には昔に比べて不自然なものばかり。
だからこそ、未来の孫のためにも、質のいい卵子を届けるために、いま私たちが頑張る理由があると思うのです。
講義の中では、シンガポールで水中出産をした美樹さんのバースプランの実例を交えながら、 妊娠前から産後までの具体的な過ごし方を、わかりやすく細かく、メモを取りきれないほどのボリュームでお伝えいただきました。
⭕️ 生活習慣
⭕️ 食べ物
⭕️ 排泄
⭕️ 運動
⭕️ 暮らし
⭕️ プレパパ準備
⭕️ つわり対策
⭕️ ボディケア
⭕️ バースプラン
⭕️ 産後の過ごし方
など、様々な観点からのお話がありましたが、 特にポイントとなる部分を、シェアしたいと思います。
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◆ ゆったりゆるめる、リラックスする
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妊娠中は子宮の赤ちゃんが何より最優先! 赤ちゃんを育むために血液を子宮に十分に送る必要があります。 そこでリラックスして体をゆるめ、血流を良くすることが大切です。 深呼吸、ストレッチ、休む、温める、お風呂、考えすぎない・・・、など様々な方法で心も体もゆるゆるに。 いろいろな感情が出てくる時期です。 でも妊娠期間ほどスペシャルな期間はありません。 「私には、こんな感情もあったんだな」と自分をかわいがってあげてください。 寝る前のパソコンやスマホなどはやめること。 目を使い視神経を刺激することで、目に血を回さないといけなくなり、疲れ切っている身体や大切な子宮に血液を回すことができなくなります。 ブルーライトによって交感神経優位(アクティブモード)となった身体は、うまく休むことができません。 太陽と共に起き、日中は体を動かし、暗くなったら体を休める、といった自然の摂理に沿った過ごし方をすること。 それが【妊娠中からできる子育て】にもなるそう。 妊娠中から夜遅くまで起きている生活をすると、お腹から出てきても、夜なかなか寝ない子になってしまうかもしれません。
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◆ スムーズな妊娠生活を過ごしたければ、余力を作ること
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妊娠すると、妊娠前に抱えていた身体の悩み(腰痛、頭痛、肩こり、便秘)などはさらに悪化するといいます。 なぜかというと、身体に赤ちゃんがいない時は自分の身体の面倒だけを見ていればよかったのが、 赤ちゃんにも栄養を届けないといけない状況となるからです。 つわりのメカニズムはまだ解明されていませんが、 妊娠した身体は、赤ちゃんを作るために必死で動いていますから、自分自身に割くエネルギーが減ります。 だから・・・ 消化力が低かったら、胃もたれやムカムカ、消化不良になりやすいかもしれません。 筋力が低かったら、腰や首が痛くなるかもしれません。 血が少なかったら、眠くなったりこむら返りを起こします。 妊娠時期をスムーズに乗り切るために、妊娠前の体づくりはとても大切です。 「女性が身体を大切に過ごして欲しい」理由はそこなのです。
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◆ 和食を中心にした自然な食事
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農薬、添加物、ニセ物調味料、遺伝子組換え、サプリ、種なし作物、といった不自然な食品は避け、 和食を中心にした体を温める食事を腹八分目に食べること。 なぜ腹八分目がいいかというと、消化につかうエネルギーは膨大です。 妊娠中、消化にばかりエネルギーを費やしている余裕はありません。 食べ過ぎは赤ちゃんに負担をかけてしまいます。 特に気をつけたいのが油。 「炎症が少ない子ども」が生まれてくるために 妊娠中のお母さんが不飽和脂肪酸の油(植物から搾った油)はできるだけ排除することをお勧めします。
日頃からいいものを食べていたり、消化力がある女性の身体のなかでは、 他の生理的活動に余分なエネルギーを使わなくて良いので、子宮にどんどん血液を送ることができ赤ちゃんはHappyです。 「食は3代まで」と考えると私たちが食べたもので自身の赤ちゃんも、そのまた先の赤ちゃんも作ることになると思えば、いかに食事が重要かがわかります。
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◆ 体温を上げる
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体は全身に血液が循環し、体温が高い状態が一番高いパフォーマンスを発揮します。 逆に体温が低く、貧血になりやすい状態では、赤ちゃんにとっては緊急事態! 赤ちゃんは少しでも温かいところを求めて、頭をママの心臓側に向けて暖をとろうとしてしまいます。(頭は大切な場所なので、ここを守るため) なので逆子の人は、温めることも大切です。 お腹は温かいのに、手足が冷たい妊婦さんは生活習慣と食事を見直し、体温を上げることが必要です。
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◆ バースプランを練って、家族と共有する
---------------- 美
樹さんはとても具体的にバースプランを決めていたそう。
出産はママと赤ちゃんの二人の共同作業。 赤ちゃんがどんな風に生まれたいか、それをどのようにサポートしたいか、妊娠中に常に赤ちゃんとコミュニケーションをとることで、感じるものがあると思います。 そしてママ自身も命をかけた出産を、人任せにしないこと。 自分の大切な赤ちゃんがこの世に生まれてくる素晴らしい瞬間を、どんなものにしたいのか、一度考えてみませんか? きっと自分なりのバースプランがあるはずです。
私が驚いたのは「共有」というレベルが、私の想像を上回っていたこと。 美樹さんは陣痛が来た時、どんな風に旦那さんにしてほしいか、細かく示した《旦那さんマニュアル》を作っていたそうです。 そのマニュアルもあって、旦那さんはテキパキと美樹さんがしてほしいことに務めてくれたそう。 一例をご紹介すると・・・
・陣痛がきたら、Aと書かれた水筒(美樹さんが事前にレメディーを調合)に入った水に、ストローをいれて渡してほしい
・さする時は、なでる程度の強さで
・ポジティブな声かけを「適度に」してほしい
・マニュアルに書かれていることより、当日の私の指示にしたがってください
陣痛中は冷静ではいられません。 そんな中で旦那さんが素晴らしいサポートがあって出産ができたら、とても幸せな思い出になると思います。 そして美樹さんは具体的に決めていたものの、緊急で担当ではない医師が立ち会うことになったため、へその緒を切るタイミングがバースプラン通りにいかなかったそう。 でも、そこでがっかりせずに、担当の医師がいない時間でも、「その時間」にこの子は生まれたかったのだなと思い、その時間を選んで生まれてきた我が子の意思を尊重した、と言っていました。 こだわってもいいけれど固執しない、というのもポイントですね。 出産の一番の主人公は赤ちゃんです。 彼らの頑張りを応援し、どう生まれたいのかという意思を優先することがママが出来る最初の子育てではないでしょうか。
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◆ 産後はとにかく横になる
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産後「思ったよりも動けるな」と感じた方は多いのではないでしょうか。
でも骨盤は《交通事故にあったのと同じくらいのダメージ》を受けています。
とにかく産後一ヶ月は横になっていること!
バースプランと同じく、産後自分が休めるように、 旦那さんがご飯とお味噌汁を作れるように練習しておいたり、 誰に何を頼むかを事前に決めて依頼しておくなど、 周囲にも事前に頼っておくことが大切です。 ママがしっかりと休んで体を回復させることが、長い目でみれば家族のためにも周囲の方のためにもなりますね。 妊娠は「自分の体を材料に使って、人間一人を作り上げる」神秘的な命の創造。 出産してからが子育てではありません。 どんな人間になってほしいか、は妊娠中から私たち自身の過ごし方で決まるのかもしれません。 「いつ私のお腹に来てもいいよ!」と赤ちゃんが好きな時に宿ってくれるように、 いつでも準備万端でいたい!そう胸を弾ませながら思えるお話がたくさん聞けました。
美樹さん、今回も盛り沢山でわかりやすいお話をありがとうございました。
Writer:
岡 宏美 (Hiromi Oka)
安田 菜穂子 (Naoko Yasuda)
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