2018年2月4日 Yukako Kawaguchiさんによる「子どもと心が通じ合うコミュニケーション」の第1回目「子どもとわたしの現在地」が開催されました。
今回の講義、キーワードは「子どものイメージ」
大人が子どもにどんなイメージを持つかによって、私たちの行動や声かけが180度変わる、この事実にどれだけの人が気づいているでしょうか?
「子どもの可能性を最大限に引き出す」そのためにまず一番にできることは、英才教育でも習い事でもなく、 《大人が子どもへ高いイメージを持って接する》ことなのだということに気がつかせてくれる素晴らしい講義となりました。
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言葉の定義を見つめ直す
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突然ですが、「幸せ」、「コミュニケーション」、「子ども」、「母親、父親」、「子育て」と聞いて、ご自分の中に明確なイメージはありますか?
また、それはどのようなイメージですか?
私たちが持っている様々な言葉に対するイメージ。
それは、人それぞれ違い、答えは一つではありません。
自分が納得できるイメージの定義を探す方法、また、その定義を子育ての中でどう活かすか、すると、どんなハッピーが訪れるのかを教えて頂き、親として大きく前進できる大きな手がかりを掴むことができました。
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なぜ答えを考えるといいのか?
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では、これらのイメージについて、答えを考える目的はなんでしょうか?
ズバリ、「子育ての軸を考えること」です。
私はどういう子育てがしたいか?
子どものどんな笑顔が見たいか?
そこからどんな幸せを感じていきたいか?
毎日続く子育ての中、たくさんの情報や人の意見に心が揺れても、このような「子育ての軸」を明確に持っていれば、向かう方向を見失うことなく行動を起こすことが出来る、と由佳子さんは言います。
「子育ての軸」を作るための子育てに関する様々なイメージ。
講義ではこれらのイメージを高めるためのいくつかのポイントを、実際に会場に来ていた子供たちの様子を例にとって教えていただきました。
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あなたは「子ども」という言葉にどんなイメージを持っていますか?
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まず、「子ども」という存在。
皆さんはどんなイメージを持っていますか?
「何も知らない、常に助けが必要な存在」でしょうか?
「好奇心旺盛で、常にコミュニケーションをとりたいと思っている存在」でしょうか?
ここでは、由佳子さんがある一つの詩を紹介してくれました。
この詩に出会った由佳子さんは子どもの見方が180度変わったそうです。
私も初めて聞く詩でしたが、忘れかけていた、子どもが持つ無限の可能性を思い出さされ、大きな衝撃を受けました。
また由佳子さんは、会場にいる赤ちゃんに注目して次のように説明しました。
例えば、赤ちゃんへのイメージが、何も知らない、常に助けが必要…といったネガティブなイメージであれば、「あ、ボーっとしているからおもちゃで遊んであげなきゃ!」と思うかもしれません。
けれど、子どもに対して「好奇心が旺盛」というポジティブなイメージであれば?
「あ、おもちゃで何かしようとしているかも!ちょっと様子を見てみよう」と
子どもを信頼して、手を出さず見守ることができます。
このように、子どものイメージをポジティブなものに変換することで、言葉がけや接し方が変わります。
そして、「もう少し様子を見よう」といった観察する余裕やありのままの子どもへの信頼が生まれます。
信頼することで、子どもに必要なタイミングでサポートすることができるのです。
実際に私もこの説明の間、赤ちゃんを観察していましたが、イメージの持ち方の違いで、目の前の赤ちゃんの様子が全く違って見えてくることを体感し、大変驚きました。
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我が子に対するイメージをどのように周りへ語っていますか?
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次に、「自分の子ども」のイメージ。
皆さんはついつい我が子のことを
「うちの子落ち着きがないから…」
「うちの子人見知りだから…」
とネガティブな言葉で、周囲へ表現してしまうことはありませんか?
私の場合は、優しい姉に対して妹が叩いたり、押したりと強く主張する事が悩みで姉妹を比べては「妹は乱暴者」と表現することが多かったです。
由佳子さんは、この「乱暴者」という言葉をどうポジティブな言葉に変換できるか、他の参加者に問いかけてくれました。
すると、「エネルギッシュ」、「自分の主張を積極的に表現できる」、「感情表現豊か」と、自分では考えもしなかった表現のアイディアを受け取りました。
言葉をポジティブな表現に変えることで、いつもはとにかく「困ったな…」と思っていた妹の行動に対して、もう少し我が子を観察してみよう!という余裕が出てきたと感じます。
このように言葉は、ネガティブなイメージからポジティブなイメージに定義しなおすことができるのです。
あなたが我が子に持っているネガティブなイメージは、本当にネガティブなものか、一度じっくり考えてみると、我が子が違って見えてくるかもしれません。
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現在地を知るために、自分の本当の気持ちを掘り下げてみる
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最後に由佳子さんが教えてくれたポイントは、親である私たちの現在地について。
子どもとの関わりの中で、子どもに対して
「ついつい急がせてしまう…」
「きつく言ってしまった…」
という経験は誰しもがあると思います。
「なんで言う通りにしてくれないの!?」と子どものせいにしてみたり
「母親として失格…」と自己嫌悪になってしまったりする方もいるでしょう。
由佳子さんは、そんな時は自分の気持ちを掘り下げてみることが大切だと言います。
例えば、「子どもを急がせてしまう」時。
→なぜ急がせてしまったのか?
→約束の時間があり、早く家を出たかったから。
もし、急いだ理由が、私と子どもが平和でいるためには必要だったのであれば、急がせてしまった自分を良しとする事も必要なのです。
嫌な感情になってしまった理由を掘り下げず、自分の気持ちを無視して通り過ぎてしまうと、親である事がだんだんと辛くなってしまうでしょう。
それを由佳子さんは「親である自分に優しくしましょう」「現在地を知ることで、初めて前に進める」と語りかけてくれました。
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イメージをポジティブなものに変換するスイッチを持つ
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子育てに休みはありません。
そんな中、子どもに対して、ポジティブな気持ちやイメージを持ち続けるのはとても難しいことです。
けれど、大事なことは、たとえネガティブな気持ちやイメージを持ったとしても、「他の見方はないかな?」と、それをポジティブなものに変換するスイッチを持つことです。
講義の冒頭で由佳子さんが紹介された一文があります。
"Childhood is not a preparation for life. Childhood is a life."
「幼少期は人生の準備期間ではない。幼少期そのものが人生の大切な一瞬なのである」
私たち親は、ついつい子どもに対して、「大人になるための準備」をしがちです。
けれど、子どもは今この一瞬を生きています。
ポジティブなイメージへの変換スイッチを持っていれば、今この一瞬を子どもと一緒に楽しむことができる。
今回の学びを通して、子どもに向ける意識が変わった参加者の皆さんは、心のどこかで感じていたプレッシャーや自己嫌悪感から少し解放され、子育てにワクワクと余裕が生まれる楽しみを心待ちにしている様子でした。
「子育て」をテーマとした講座ながら、私たち「親」の気持ちに視点を向け、想いを巡らせた2時間でした。
子どもとの関わり方や声掛けといった「やり方」の情報を取り入れる前に、皆さんも今日子ども達が眠った後、「幸せの定義」や「自分たちがどんな子育てをしていきたいのか」をご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか?
きっと子育ての新しいスタートを切れるはずです。
今回から7回に渡って由佳子さんにお伝えいただく「子どもと心が通じるコミュニケーション」のヒントの数々。
今回の講義では、それらを吸収する準備となる「子育ての軸」という土台作りに取り組む会となりました。
由佳子さん、ありがとうございました!第2回も楽しみにしています!
Writer : 山田 智子
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