(Report) Vol.79 不妊治療体験シェア〜デリケートな話をオープンに語る〜

2019年2月15日、柳川まいかさんによる「不妊治療体験シェア~デリケートな話題をオープンに語る~」が開催されました。

生き方の多様性が広がり、また女性が社会で活躍することが期待される現代、

「子どもを授かりたいな」と思ったタイミングで、なかなか授かれないという現実に直面する方は増えているようです。

不妊治療のクリニックには子どもを望む多くのカップルが通い、メディアでも多くの情報が伝えられています。

しかし、その話題のデリケートさゆえ、不妊治療について、人と話す機会はほとんどないのではないでしょうか?

今回のMothers' Earth Cafeでは、シンガポールに住みながら、3カ国で4年に渡る不妊治療を経験して子どもを授かった、柳川まいかさんより、その経験を語ってもらう機会を作りました。

顕微授精で第一子を授かったというまいかさんは、現在妊娠6ヶ月。

笑顔でオープンに体験を共有してくれたまいかさんですが、不妊治療に関わるすべての方に伝えたい沢山のメッセージがありました。

こんなお話をお聞きしました…

あたたかいお茶を飲みながらリラックスした雰囲気の中で、まいかさんの実体験に基づく以下のようなトピックをシェアしていただきました。

・シンガポール、タイ、日本と3か国に渡る治療について

・行った検査と治療内容、その結果、スケジュール、費用について

・今振り返って、治療中にしておけば良かったと後悔していること

・治療期間中の旦那さんとの関係悪化、それをどのように乗り越えたか

・不妊治療中に感じた「治療の先輩に話を聞いたり、つらい気持ちや悩みが話せる場所がない」という課題

今回は、不妊治療経験のある方、ない方がそれぞれ参加されていました。

全く経験のない方には「検査でそんなことが分かるの?」「人工授精っていうほど人工的じゃない?」など、驚きの連続だったようです。

逆に治療経験がある方は、「そう、その検査って痛いよね…」「治療を続けていくと段々金銭感覚が麻痺してくる」など共感しながら聞いていました。

ただ、まいかさんのシンガポールに拠点を置きながら、3か国で治療のステップを進めたという経験は非常に珍しく、各国の病院・先生方の治療の考え方や渡航を念頭に置いたスケジュールなどは、大変興味深く皆さん聞き入っていました。

お話し中、まいかさんは4年という期間の様々な出来事を真剣に、けれど笑顔で淡々と語ってくださっている、という印象でした。

しかし、旦那さんや家族の中での葛藤やすれ違い、別れが脳裏をよぎったお話しなどを聞いていると、明るくハツラツとしたまいかさんが、不妊治療でどれほど追い詰められたか、胸を締め付けられる思いでした。

そのひとつひとつの試練を、乗り越えたからこそ今のまいかさんがいるのだなと感じました。

まいかさんの経験談の後には、治療経験がある参加者からシェアしてくれる方をつのり、体験をお話ししてもらう時間も作りました。

(以下、経験者の声を一部抜粋)

・不妊治療に対しては抵抗があり、できれば自然に授かりたいがうまくいかず、迷いながら進めていった。

・身近で治療をしている人がいて、背中を押された。だからこそ、オープンにしにくいこのテーマについて語ろうと、勇気を持って踏み出したまいかさんの一歩は素晴らしく、たくさんの方へのエールになると心から感じた。

参加者より嬉しい感想をいただきました!

まいかさんが今回話してくれたことは、とても勇気ある行動で、不妊治療を経験した人が、治療中の人のみならず、女性として生きてて悲しい、辛い思いをした事がある全ての女性の励みになったなと思います。私もその1人で、正直参加しようか迷っていたのですが、思い切って参加して本当に良かったと思いました。
話の進め方もとても上手で、前半は不妊治療に関して過去の自分の経験を要点を整理してまとめて、誰が聞いても分かりやすく説明してくれたので、曖昧だった理解も深まり、新たな発見もあったりと、客観的に興味深く聞き入ってしまいました。
後半は参加者の皆様への質問を用意して周りを巻き込みながら夫婦関係や私情を説明してくれたので、一気に引き込まれて私自身も考えさせられる部分も多かったし、夫婦のコミュニケーションなど今後に活かせるような気づきももらえました。
重いテーマなのに、凛として説明してくれるまいかさんに、女として妻として母としての強さを感じ、同性としてとても勇気がもらえました。
(匿名希望さま)


まいかちゃんの、伝えたい!!という熱い気持ちがひしひしと伝わってきて、分かりやすくシェアしてくれてすごくよかったです。
私の周りも含めて、いままでは治療を取り入れた人が近くにはいなかったので、未知なる世界のことだらけで、ただただ、衝撃も大きかったけれど、社会的な問題にもなっている状況でもあると思うし、いままではこのテーマとは、身近でなかった人たちにも聴いてほしいなあと素直に心からそう思いました。

うちのアレルギーや、乳児湿疹もそうだけど、当事者の気持ちは、計り知れないものが多く、当事者や、身近にいないと、他人事みたいになってしまう部分もある…。
でも、これは、きっと共通して、未来も含めての子どもたちからのメッセージであり、心から、体からのメッセージであるんだなあとあらためて、その想いも強くなりました。体験したことのある人からの声を生で複数の方から聴けたのも、意味があり、体験者の声を聴いてから、私のできることもまだまだたくさんあるなあと…そこもあらためて。
男性も女性も、素直に自然と自分の心や体の声を聴いてあげられる環境、自分のことを受け入れるための循環を作り出していきたいです。
(N.Hさま)


私は不妊治療未経験者で、知らない事ばかり、驚くことばかりでした。それでも、友人に治療中、もしくは経験者が多く、少しでもその人たちの助けになりたいと思って今回参加しました。
どんな治療があるのか、治療中の心の浮き沈み、夫婦でどうやって乗り越えていったのか、日常生活と仕事と治療の両立、経済的な負担。大きな不安との戦いと、それでも次こそはという希望。その中での葛藤を聞いていて、とても胸に刺さるものがありました。
今回の参加者には、不妊治療経験者が体験をシェアをしてくれましたが、悩み苦しんだ経験を誰かと共有することで傷が癒やされることもあるのかもしれないと、その意味についても大きく感じた時間となりました。
子どもが生まれてくる、それは本当に奇跡なんだと。自分の子どもが心から愛おしく、感謝で溢れました。そして、今頑張って生きている自分も愛おしく思えた、素晴らしい時間でした。
(匿名希望さま)

私自身、3年の不妊治療経験があります。

複数名の前で自分の経験をシェアしたことはなく、とても緊張しましたが、皆さん真剣に聞いて下さって、話して良かったなと心から感じました。

そして今回のシェアを通して、不妊治療の経験の有無に関わらず、子どもが私達のもとにやってきてくれることは奇跡なんだという思いが参加者全員で共有されたように思います。

Mothers' Earth Communityという自然派育児をしたいお母さんのための学び舎としては、初の試みであった「不妊治療体験シェア」。

知らないことを知り、前向きに楽しく生きていくために、これからも様々な角度から学びを深めていきたいと思います!

Writer: Kaoru Yonekura